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椎名 保顕; 栗木 良郎*
JAERI-Tech 2003-070, 47 Pages, 2003/08
溶融塩を用いた潜熱蓄熱技術を用いると、高温から中温までの熱負荷変動を相変化潜熱で吸収させることができる。これを、高温ガス炉の複数の熱利用系の後段に取り付けることにより、核熱を高温から低温までカスケード的に利用することが可能となる。この場合、溶融塩と金属材料との共存性が問題となる。本研究では、前報に引き続き、溶融塩としてCaCl+NaCl, LiCl, LiCO, NaClの4種類を、また、金属構造材料としては、アロイ600, ハステロイB2, ハステロイC276, SUS310S及び純ニッケルを選択し、100時間の耐食性試験を実施して共存性を調べた。実験の結果、純ニッケルが卓越した耐食性を示した。ニッケル基合金であるアロイ600, ハステロイはLiCO, NaClに対して比較的低い耐蝕性を示した。SUS310Sはニッケル基合金と同程度の耐食性を示した。多少の腐食を許容するのであれば、一般に用いられるSUS310Sも構造材料の候補になりうると考えられる。溶融塩では、 LiCOが腐食性が高く、蓄熱材料として用いるには注意を要すると考えられる。
谷口 直樹; 川崎 学*; 藤原 和雄*
JNC TN8400 2001-011, 62 Pages, 2001/03
自然環境で使用される金属材料の腐食が微生物の活動による影響を受ける場合のあることが知られている。高レベル放射性廃棄物処分においても、地下深部に生息する微生物や地上から持ち込まれた微生物がオーバーパックの腐食挙動に影響を及ぼすことが懸念される。そこで、本研究ではまず、腐食に影響を及ぼす代表的な微生物である硫酸塩還元菌について、オーバーパック周囲を取り囲む緩衝材の主成分であるベントナイト中における増殖挙動を調査した。人工海水とベントナイトを混合した培地での培養を行った結果、ベントナイト/水比が大きくなると硫酸塩還元菌の生菌数は低下し、約1000g/l以上ではほとんど増殖できないことがわかった。次に、保守的なケースとして硫酸塩還元菌の活性が高くなった場合を想定し、その活動によって生じるS(-II)によるオーバーパック候補材料の腐食挙動への影響を調査した。模擬地下水として人工海水を用い、分圧0.1MPaの硫化水素ガスを溶液中に吹き込み、炭素鋼、チタン、銅の浸漬試験を行い、窒素ガスを吹き込んだ場合の結果と比較した。その結果、硫化水素吹き込みによる炭素鋼の腐食への影響は小さいが、銅の腐食は数百倍以上加速されることがわかった。また、硫化水素吹き込みによるチタンの水素吸収の加速は認められなかったが、水素吸収量は純チタンと0.06%Pd入りのチタン合金で異なる値となった。
藤井 靖彦*; 赤塚 洋*; 野村 雅夫*; 鈴木 達也*; 佐分利 禎*; 徳浪 理恵*; 田中 拓
JNC TY9400 2000-009, 41 Pages, 2000/03
再処理プロセスにおける構造材のように、線照射下にある金属材料は電子に起因する化学作用が想定される。特に、硝酸溶液などの種々の分解生成物が生じ、金属材料に作用するおそれがある。このような分野の研究の手段として核燃料サイクル開発機構の大電流電子線加速器を用いた線環境下における材料腐食機構の解明および材料評価システムの構築を目指して研究を行う。本報告書では、その予備実験として東京工業大学のプラズマ実験装置を用いて金属材料の酸化現象について研究を行い、電子の影響について議論した。
石井 徹哉; 浅賀 健男
JNC TN9400 2000-031, 15 Pages, 2000/03
実用化戦略調査研究において金属燃料の実用性を検討するため、既存の知見に基づき金属燃料の照射挙動及び設計評価用モデルに関する検討を行うこととした。これに関し、金属燃料については、主として米国ANLにて行われた研究により、照射挙動の把握、検討が行われている。そこで、今回、金属燃料の機械設計を行う上で必要となる以下の項目・被覆管の変形量・燃料の変形量・FPガス放出量・ボンドNa液面変化量・FCCIによる被覆管減肉量について、既存知見をもとにした評価手法の検討を行った。
明石 正恒*; 深谷 祐一*; 朝野 英一*
JNC TJ8400 2000-015, 46 Pages, 2000/02
普通鋼(SM50B), 耐侯性鋼(SMA490AW), 5%Ni鋼の研磨材表面における水素発生反応挙動は鋼種による差は確認されなかった。上記3鋼種に500C、1000時間の水蒸気酸化処理を施し、さび層を付与した。さび層は、普通鋼では外層がヘマタイト(FeO)主体、内層はマグネタイト(FeO)主体、耐侯性鋼は外層はヘマタイト(FeO)主体、内層はCrが濃縮したマグネタイト(FeO)主体、5%Ni鋼では3層構造で外層がヘマタイト(FeO)主体、中間層はマグネタイト(FeO)でいづれもAlが低濃度で混入し、内層若干Alが濃縮した高濃度Ni主体の層であった。このさび層付与の3鋼種のカソード分極曲線は、さび層なしの研磨試験片と比べてTafel勾配は変わらないが、反応を水素発生反応と仮定した時の交換電流密度は大きく増大した。いずれの鋼種も表面がマグネタイト主体のさび層で覆われた場合は、カソード反応が加速され、その腐食反応が加速された。
明石 正恒*; 深谷 祐一*; 朝野 英一*
JNC TJ8400 2000-014, 22 Pages, 2000/02
普通鋼(SM50B)、耐侯性鋼(SMA490AW)、5%Ni鋼の研磨材表面における水素発生反応挙動は鋼種による差は確認されなかった。上記3鋼種に500、1000時間の水蒸気酸化処理を施し、さび層を付与した。さび層は、普通鋼では外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はマグネタイト(Fe3O4)主体、耐侯性鋼は外層はヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はCrが濃縮したマグネタイト(Fe3O4)主体、5%Ni鋼では3層構造で外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、中間層はマグネタイト(Fe3O4)でいづれもAlが低濃度で混入し、内層若干Alが濃縮した高濃度Ni主体の層であった。このさび層付与の3鋼種のカソード分極曲線は、さび層なしの研磨試験片と比べてTafel勾配は変わらないが、反応を水素発生反応と仮定した時の交換電流密度は大きく増大した。いずれの鋼種も表面がマグネタイト主体のさび層で覆われた場合は、カソード反応が加速され、その腐食反応が加速された。
滝沢 真之
JAERI-Research 98-019, 181 Pages, 1998/03
磁場閉じ込め型核融合炉のプラズマ真空容器周辺部におけるスクレイプオフプラズマと炉壁の相互作用(PWI)の中では、水素が炉壁を拡散、透過して裏面側に放出される事象は、トリチウム漏洩の観点から特に重要な研究課題である。本研究は、水素がイオン化あるいは原子化されると透過流量が飛躍的に増大する現象(PDP)を多角的な視点から調べるため、水素原子・イオン、及び電子が混在する低温プラズマ環境下において、数種類の金属材料の試料膜を使用した水素透過実験を実施した。またプラズマから膜への水素入射量の評価を数値解析により行った。そして低温プラズマが駆動する水素透過現象の機構を明らかにし、モデルの形に整理した。さらに本研究でまとめたPDPモデルを基に水素透過ポンプシステムのシミュレーションを行い当該システムの模擬評価に適用できることを示した。
永井 巌*; 松田 史朗*; 戸田 英二*; 庄司 一雄*; 佐光 武文*; 白石 佳代*; 渡辺 邦夫*
PNC TJ1010 98-001, 221 Pages, 1998/02
本研究は、オーバーパックの候補材の一つである銅のベントナイト中での腐食挙動に関する長期予測を行うために、大阪府堺市下田遺跡で発見された銅鐸のナチュラルアナログデータを活かすことを目的に昨年度より着手した室内サポート試験を継続することと、同じく候補材の一つとしての鉄のナチュラルアナログデータを得るため、大阪府八尾市大竹西遺跡で発掘された鉄剣の埋蔵環境条件の調査を行うことを主な研究項目として取り組んだものである。鉄剣に関する研究では、今回は埋蔵環境に関する知見が得られたのみであり、今後の鉄剣本体の解析結果と合わせ、銅と同様の室内サポート試験を行うことがこれからの重要課題となる。本研究結果は考古学的金属材料をナチュラルアナログに活かす始めてのものであり、今後同様の研究を繰り返すことにより、より信頼性の高い成果に発展させていかなければならない。
舘 義昭; 平川 康; 加納 茂機; 吉田 英一
PNC TN9410 98-054, 57 Pages, 1998/01
高温ナトリウム(以下、Naと記す)を冷却材に使用している高速炉プラントの高性能化(高温化、高耐食性化)を図ることを目的に、その機器・構造物の一部にこれまでの金属材料に代わる新型セラミックスの適用をフロンティア研究の一つとして進めている。セラミックスのNaによる腐食形態は、主に粒界腐食であることが古くから知られており、特に非酸化物系セラミックスでは焼結助剤成分によって耐食性に大きな影響を受けることがこれまでの研究から明らかになっている。今回、セラミックスの粒界部を構成するMgO,Y2O3,AlN等の代表的な焼結助剤成分のNa中腐食試験を実施し、その腐食挙動を重量変化、組織観察、元素分布変化等の分析により評価した。その結果、以下に示すことが明らかになり、耐Na腐食性セラミックス創製について有益な知見が得られた。(1)MgOの耐Na腐食性は不純物Siの影響が大きく、Si含有量の多いものは著しい腐食を受け、少ないものは良好な耐腐食を示した。(2)Y2O3およびAlNはいずれもSiの含有量が少なく、Naに対して良好な耐食性を示した。(3)MgO,Y2O3およびAlNは、SiO2の存在下では、Naとの化学的相互作用により腐食を受けるこが考えられる。そのため、MgO,Y2O3およびAlNを含むセラミックスの耐食性向上のためには、これらの純度管理とともに母材成分の純度管理を原料粉末の時点から行う必要があり、SiO2の混入を極力防ぐことが重要である。
川野辺 一則*; 大橋 和夫*; 竹内 正行; 武田 誠一郎
PNC TN8410 97-433, 49 Pages, 1997/12
(目的)硝酸溶液中に浸漬した非鉄金属材料(Ti, Ti-5Ta, Zr)の表面状態および酸化皮膜を調査する。(方法)3M硝酸およびCr添加3M硝酸溶液中にTi, Ti-5TaおよびZrを沸騰96時間浸漬し、SEMによる表面状態の観察およびXPSによる酸化皮膜の調査を行った。(結果)(1)3M硝酸およびCr添加3M硝酸溶液中に96時間浸漬したTi, Ti-5TaおよびZrの表面状態は、試験前の研磨痕が確認された。しかし、3M硝酸で行った試験のTi, Ti-5Ta表面は、若干腐食による肌荒れが認められた。(2)いずれの試験条件においても、Tiの酸化皮膜は、TiO, Ti-5Taの酸化皮膜は、TiOと若干のTaO, Zrの酸化皮膜は、ZrOであった。また、若干O-H結合の水酸化物が含まれていると考えられる。(3)いずれの試験条件においても、TiおよびTi-5Ta最表面酸化皮膜は、TiOとTiOで構成され、その割合は、TiOの方が多いことが分かった。(4)3M硝酸で行った試験のTiおよびTi-5Taの腐食速度は、Cr添加試験と比べて若干大きく、酸化皮膜の厚さは約800から900と推定される。また、Cr添加3M硝酸で行った試験の腐食速度は小さく、酸化皮膜の厚さも薄く約140と推定される。一方、Zrは、ほとんど腐食せず酸化皮膜の厚さは約220と推定される。(結論)3M硝酸で行った試験のTiおよびTi-5Taの表面状態は、腐食により若干肌荒れし、酸化皮膜は厚く成長することが分かった。Cr添加3M硝酸で行った試験のTiおよびTi-5Taの腐食速度は小さく、酸化皮膜は薄いことが分かった。Zrの酸化皮膜はいずれの試験においても、ZrOで優れた耐食性を示した。
斉藤 淳一; 加納 茂機
PNC TN9410 97-073, 69 Pages, 1997/07
セラミックスおよび金属材料のナトリウム耐食性に及ぼすイオン注入の効果を明らかにするために、分子軌道法の一つであるDV-Xaクラスター法を用いてイオン注入材の電子状態を計算した。計算の対象とした材料はセラミックスがb-Si3N4, a-SiCおよびb-SiC、金属材料がf.c.c. Fe, b.c.c. Feおよびb.c.c. Nbである。セラミックスへの注入原子としてFe, MoおよびHf原子、金属材料への注入原子としてN原子をそれぞれ選択した。それらの金属元素はこれまでの実験から液体ナトリウム中で優れた耐食性を示すことが知られている。その結果の要約を下記に示す。 セラミックス材料では注入原子のエネルギーレベルはバンドギャップ中に現われた。電荷移行量を示すイオン性や原子間の結合力を表わす結合次数が基材や注入元素により変化した。b-Si3N4は注入原子によりイオン性は小さくなり、イオン結合性が低下した。イオン性の減少量は注入原子に依存し、Hfイオンを注入したとき最も減少した。また、b-Si3N4とa-SiCは注入原子により結合次数が減少した。b-SiCの侵入サイトに注入原子が入った場合、イオン性が減少し結合次数が増加した。 金属材料にN原子を注入した場合、N原子のs,p電子の状態密度は低いエネルギーレベルに現われていた。周りの金属原子からN原子へ電荷移行が起きているため、N原子のイオン性は大きくなっていた。N原子の注入により、母金属同士の結合次数は減少した。特にb.c.c. Feとb.c.c. Nbで顕著であった。そのため、クラスター全体の結合次数はf.c.c. Feを除き大きく減少した。 以上の計算結果から、b-Si3N4は注入原子によりイオン結合性が低下するため、耐食性の向上が期待できる。a-SiCとb-SiCは注入原子が侵入サイトに入った場合にイオン結合性が低下するため、耐食性の改善する可能性がある。注入原子の中ではHf原子が最も効果のあることが明らかになった。f.c.c. FeでN注入によりFe原子とN原子間の共有結合が増加したため、f.c.c. Feのナトリウム耐食性の向上が期待できることがわかった。
永井 巌*; 松田 史明*; 窪田 亮*; 庄司 一雄*; 佐光 武文*; 白石 佳代*; 渡辺 邦夫*
PNC TJ1010 97-002, 170 Pages, 1997/02
本研究は、オーバーパックの候補材である銅のベントナイト中での腐食挙動に関する長期予測に、堺市下田遺跡で発見された銅鐸のナチュラルアナログデータを活かすための室内サポート試験を主な試験項目として取り組んだものである。予測精度を向上させるため今後できるだけ多くの試料入手が必要となるが、その試料入手のためのきっかけ作りにも着手した。併せて、考古学的金属製品の腐食に関する研究の現状を調査するため、国内文献を検索しとりまとめを行った結果、ナチュラルアナログ的アプローチを行った研究は極めて少なく、本研究が考古学分野にとっても有用なデータを提供できる新たな分野の研究であることを再確認できた。本研究結果は考古学的金属材料をナチュラルアナログに活かす初めてのものであり、今後同様の研究を繰り返すことにより、より信頼性の高い成果に発展させていかなければならない。
加藤 章一; 青木 昌典; 佐藤 勝美*; 鈴木 高一*; 小林 裕勝*; 矢口 勝己*; 吉田 英一
PNC TN9450 91-008, 38 Pages, 1991/09
本報告は,高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に,FBR大型炉用構造材料として適用が予定されている高速炉構造用SUS316(316FR)について,材料開発室の研究開発計画に基づいた試験で取得した引張特性データをまとめたものである。今回報告する試験内容は,(1)材 料 :高速炉構造用SUS316(母材) 1・板 B7ヒート 50mmt1000mm1000mm 2・板 B8ヒート 40mmt1000mm1000mm 3・板 B9ヒート 25mmt1000mm1000mm(2)試験温度 :RT750度C(3)試験方法 :JIS G 0567 「鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張試験方法」 およびN241 79-32「FBR 金属材料試験実施要領書」に準拠(4)データ点数:64点 なお,材料特性は,「FBR構造材料データ処理システム SMAT」のデータ様式に従い作成したものである。
山口 貞衛*; 小沢 国夫; 中井 洋太; 杉崎 康昭*
JAERI-M 82-118, 73 Pages, 1982/08
ステンレス、スチール、Mo、Tiなど固体材料中にイオン注入された水素、重水素、トリチウムの水素同位体及びヘリウム原子の保持及び放出に関する実験データは核融合炉のプラズマ・壁相互作用における水素リサイクリング過程のモデリングにとり重要な原子分子データを提供する。本報告は1966~1980年迄の関連文献76を調査収集し、AMSTORシステムによる計算機作図化を行なって、46図のデータ集として収録した。構成は次の7章に分頬整理した。1)イオン注入量依存性、2)標的金属依存性、3)注入後時間依存性、4)標的温度依存性、5)入射イオンのエネルギー依存性、6)照射損傷依存及び7)イオン誘起放出。
白石 健介
日本原子力学会誌, 21(6), p.471 - 479, 1979/00
被引用回数:0トカマク炉の第一壁およびブランケット構造材料として設計研究にとりあげられてきた材料をその使用条件と関係させて整理し、これらの炉心構造物の候補材料の評価を行ない、材料開発の方策を考察した。核融合炉の条件で耐照射性に優れたステンレス鋼およびニッケル合金の開発試験と協力して実施することが望まれる。これらの材料については、核分裂炉を用いた照射試験の結果および加速器を用いた中性子照射の模擬試験の結果を核融合炉における高エネルギーの中性子照射損傷とを関連させるための基礎的な研究が重要である。高融点金属材料では実験炉の防護壁として使用することが考えられているモリブデン合金の接合性と照射脆化特性を改善することが材料開発の重点項目になる。モリブデン合金の開発試験では5年程度の予備的な試験研究を行った後、使用に耐える材料開発の可能性について再評価することが望ましい。
近藤 達男
日本原子力学会誌, 15(5), p.295 - 304, 1973/05
現在我国で関心の持たれている製鉄等プロセス加熱のための高温ガス炉を開発する上で最も重要と思われる耐熱金属材料の冶金学的な問題点と欧米における研究の現状を紹介した。内容は著者が調査のため直接現地を訪ねて行なった議論をもとに文献調査で補強して総説の形としたものである。原子炉の熱利用のために、従来の技術が達成した上限温度を大幅に上げ、製鉄などの熱源として使えるようにするためには構造用金属材料の安定性を改良保証しなければならない。HTRとして特に問題とするのは、クーラントHe中の材料の強度、腐食等の特性が、表面物理化学的な支配因子の影響を強くうけるということである。このような問題を解決するために必要な研究技術の確立と、予測される材料劣化の機構について問題提起と解説を与えた。
長谷川 正義*; 小川 豊
日本原子力学会誌, 14(11), p.626 - 632, 1972/11
原子炉の高温化(600C以上)にともなう、金属材料の問題点を(1)高温における強度と延性、(2)高温照射、(3)高温長時間加熱による性質劣化、(4)耐食性等の点から解説した。対象となる原子炉は高速増殖炉、高温ガス炉、核融合炉であるが、高温ガス炉の場合を主にした。金属材料としてはインコネル系合金を中心にし、インコロイ800、ハステロイXもとりあげた。高温原子炉用の金属材料における問題点を定量的に評価するには現状ではデータ不足で、今後高温、長時間にわたる試験データの蓄積が必要であることが結論された。
白石 健介
材料科学, 9(3), p.135 - 140, 1972/06
金属材料の放射線損傷に関する研究のうち実用の原子炉材料に関係ある分野では,高速増殖炉や核融合炉の炉心材料の受ける損傷の程度を評価するために,照射量が非常に大きい場合(高速中性子で10n/cmまたはそれ以上の照射量)の金属材料の照射損傷に関心が向けられてきた.この研究のために放射線として原子炉による高速中性子のほかに超高圧電子顕微鏡に.よる電子線,加速器による重い荷電粒子(イオン)が利用されている.ここでは,これらの放射線による金属材料の受ける損傷の程度の大きさとその特徴について述べる.
長崎 隆吉
工業レアメタル, (49), p.99 - 102, 1972/00
原子炉が高温化されるに従って、原子炉用材料も900~1200Cに耐えることが要求されるようになり、鉄、ニッケル合金とともに、高融点金属も注目されるようになってきた。この報文は核融合炉において、材料が満たすべき条件を述べるとともに、最適材料と考えられているモリブデン、ニオブ合金などにつき、諸性質を述べ、比較検討した解説的なものである。